テトは家族の中でも特に私にだけはベタ馴れの子でした。
いつでも私のあとをついてまわり、家中どこへ行くにも必ず私の肩へと飛んで来てくれました。休日の朝、私がなかなか起きてこないと彼は、
2Fの私の部屋まで飛んできて、扉が開くのをジッと待っているような子でした。
あの日、私が外出した直後に母が玄関のドアをあけたところ、テトは私を追いかけ外へと飛び出してしまったのでした。自分の背後でそんな非常事態が起きているとも知らず、私は自転車を走らせ、母の呼び止める声も届かぬまま
駅へと距離を縮めている時でした。。
飛び出してしまったテトは、はじめは近所を旋回しながら飛んでいて、
母の呼びかけに対して、必死に鳴いて返事をしてくれていたそうです。しかし、あの子の飛んでいる位置からは視界が広すぎて、半ばパニック状態だった彼には母の姿を見つけることができなかったようです・・・。
戻りたくても戻れない様子で不安げに鳴き叫びながら旋回を続け、のちに、彼の姿は
建物に遮られて見失われてしまったのでした。
携帯で知らせを受けた私は無我夢中で来た道を引き返し、以来、今日までずっと生き別れになった彼のことを探し続けています。私の傍から片時も離れたくない思いで飛び出してしまったテト。帰る場所を見失い、夕暮れ時の空に消えた彼の姿を思うたびに胸の張り裂けそうな思いでいます。